西表島の大自然やツアー内容をご紹介
日本の端っこ・西表島の日常や島民しか分からないレアな情報も登場するかも!?
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虫にーにー、マレーシアへ行く 〜グルメ編〜2024/09/19
旅行といえば、皆さんが気になるのはその国独特の食べ物ではないでしょうか?
そんなわけで今回は、この旅行中に食べたマレーシア料理をご紹介したいと思います。といっても、基本的に昼はジャングルの中で菓子パンを咥えながら虫採り、夜は飯を食ったらまた虫採りに行くか疲れて寝てるか……といった感じだったので、ガイドブックに載っている評判の店!みたいなのは一切出てきません。自分のことながら、昆虫以外のものへの興味がなさすぎる……
食レポにも自信はありませんが。
まず初日の夜に食べたのはマレーシアの定番料理、ナシ・レマ。「ナシ」は米、「レマ」はココナッツの油のことで、文字通りココナッツミルクで炊いた米のことです。
付け合わせの具材は色々とレパートリーがあるそうですが、キュウリ、揚げたピーナッツ、卵、そして小魚を素揚げにしたイカンビリスというものが一般的。真っ赤な色をした甘辛ソース、サンバルソースも大事。今回はそれらに加えてスパイシーなカレーもありました。
マレーシア料理は唐辛子を多用するため、辛い料理が多いそう。苦手な人には大変かもしれませんが、辛いもの大好きな自分にとっては望むところといった感じ。辛そうな料理をどんどんチャレンジしていきたいところ。
謎の米料理とラムチョップ。
米料理の方はメニューに「キャメロンハイランド」とこの街の名前がついていたので、街を代表する料理なのかなと思って注文してみた。見た目は奇抜ですが、マレーシアではこのように着色した米を使った料理は珍しくないらしい。今回はトマトで色をつけたのでしょうか?
味は海鮮系、特にエビの香りと出汁が美味しかったです。キャメロンハイランドは高原野菜も特産なので、付け合わせの野菜もこの辺りでとれたものなのかもしれません。
ラムチョップ、つまり羊の肉も日本ではあまり馴染みがないですが、マレーシアでは定番。というのも、マレーシアはマレー系、インド系、中国系の人種からなる多民族国家であり、各々信じる宗教も異なるため、一般的な店ではイスラム教、ヒンズー教がそれぞれ食べることを禁止している豚肉、牛肉を提供しないことが多いからですね。必然的に鶏、羊、魚を使った料理が多くなるわけ。
羊肉を食べる機会もそうあるわけではないので試しに注文してみたが、なかなかに美味しかったです。
お次はカレー。インド系の人も多いためカレーも一般的なメニューで、大抵はチキンカレーかフィッシュカレー。ナシ・レマも一緒に。
味としてはかなりの辛さ。カレーの本場インドとは昔から交易があったため、マレーシアのカレーもスパイスをたくさん使った本格派。素人にはよくわからないスパイスの香りで混沌としていますが、美味しかったです。
キャメロンハイランドでは夜遅くまで屋台や市場がやっています。夜中にちょっと小腹が空いたな、という場合にもおすすめ。街は明るく、人通りもかなり多いので、夜に出歩くことの心配もなさそうでした。
屋台で購入したもの。揚げたチキンに甘辛いタレ、チーズをかけた料理のようです。
他にも色々な味があり、値段も12リンギット、つまり360円くらいとお手頃なので、何日か通ってしましました。
キャメロンハイランドの観光地にもなっている、広大な茶畑も見学。その際に食べた、いちごのチーズケーキとシナモンティー。イチゴもキャメロンハイランドの名物です。
シナモンティーはかなりスパイスが効いていて辛口。マレーシアではお茶さえも辛くなってしまうのか?しかしこの辛さをチーズとイチゴソースの優しい甘さが和らげてくれます。そういえば、今回の旅行中は甘味のあるスイーツ的なものを全然食べていませんでした。やはり甘味はいいものですね。
最後に、個人的に一番印象に残ったもの。
ここまで散々マレーシア料理を紹介しておいて身も蓋もない話ですが、空港で食べたケンタッキーフライドチキン、これが一番かもしれません……
西表島では滅多に食べることができないし、まあケンタッキーなんて世界中どこで食べても同じ味でしょ、くらいで注文したのですが、もう全然違いました。
英語もよくわからなかったので、一番オーソドックスなものを頼んだはずですが、まず辛い。日本のケンタッキーの辛いやつより辛いです。
衣もザクザクとした食感で、上にはチーズソースが乗っている点も日本とは違いますね。辛い物好きとしては、かなりの高評価でした。
やはり鶏肉を食べる人が多いマレーシア、ケンタッキーフライドチキンもそれだけ人気で、美味しいということでしょうか。いつも通りの味を想像していた分、衝撃は大きかったです。
マレーシア料理は極端に辛い、もしくは甘いというイメージもありましたが、自分は何の不満もなく全て美味しく食べることができました。
東南アジア系の料理が苦手な方も、街中にはカレー屋、中華料理屋が数多く存在します。特に中華料理は日本人に馴染み深く、牛肉や豚肉も扱っているので、味に変化をつけたい人にもおすすめです。
虫にーにー、マレーシアへ行く 〜昆虫編〜2024/08/20
最後はお待ちかね、旅の中で出会った昆虫たちをご紹介したいと思います。
マレーシア、特にキャメロンハイランドが生き物観察にオススメの理由はいくつかありますが、その中でも大きいのは昆虫を捕まえてそれらを売ることで生計を立てている人々の村、通称「19マイル」の存在でしょう。
19マイル。
彼らは昆虫採集の達人。マレーシアの森のことを知り尽くしており、自分一人では見つけることのできないような難易度の高い虫も簡単そうに捕まえてきます。
彼らにお願いすればジャングルの中を案内してくれるとのことで、虫が採れる場所まで連れて行ってもらいました。
やってきたのは日当たりのいい河原。ここには、いろいろな種類のチョウが水を飲みに集まるようです。村人たちはここでチョウを捕まえて、虫好きの観光客や地元のバタフライパークに売ることで収入を得ているとのことです。
昼頃になり、気温が高くなるにつれて様々なチョウが集まってきます。
マレーシアの国蝶、アカエリトリバネアゲハ。
名前のとおり鳥のように巨大なアゲハチョウで、首のところの赤い模様がトレードマーク。現地での呼び方はラジャ・ブルック。
トリバネアゲハの仲間はワシントン条約で保護されているため採って帰ることはできません。
アオスソビキアゲハ。裾引き、の名のとおり、引きずってしまいそうなくらい長い尾状突起が特徴的です。
アゲハチョウの仲間にしてはかなり小さめですが、ハチのように素早く飛び回り、捕まえるのが難しい。
ルリオビヤイロタテハ。青いチョウといえばモルフォチョウが有名ですが、モルフォ以外にも綺麗な青色のチョウは色々います。
網で捕まえるのが難しいくらい飛ぶのが速かったですが、水を飲むために地面に止まったところを狙ってなんとか捕獲成功。
本当はチョウたちの自然な姿も写真に撮りたかったのですが……
写真を撮っている間に逃げられたらと思うと、つい先に網を振ってしまいます。よって、チョウの写真は捕まえた後のものばっかり。
ここでお待ちかねのコーカサスオオカブト登場。ヘラクレスオオカブトと並んでカブトムシ界の人気者。
村人が夜のうちに捕まえたらしく、持ってきてくれました。これでもまだまだ小さいらしく大型のものは体長12センチを超えるそう。
今回はそんな大物には出会うことはできませんでしたが、いつかは自分の手で採ってみたいものです。
村人が捕まえてくれたオウゴンオニクワガタ。黄金色の体が最大の特徴です。日本のクワガタは基本的に黒か茶色の地味なイメージが強いので、この派手なクワガタを見ると海外に来たって感じがします。
擬態名人のコノハムシ。葉っぱそっくりの平たい体で周囲の景色に溶け込みます。虫好きの子供なら一回は名前を聞いたことのある虫です。
子供のころから昆虫図鑑で眺めるだけだった憧れの昆虫たちに次々と出会うことができました。
チョウなんかは、全部で30種類くらいを観察したと思います。
西表島も国内では指折りのジャングルですが、それでもマレーシアの昆虫の多様さには及ばないでしょう。ほんの数日でここまでたくさんの虫に出会うことができました。
マレーシア、その中でもキャメロンハイランドは治安も良く、熱帯のジャングルを存分に味わえる場所。
生き物好きのお子さんがいるご家族での海外旅行にぜひいかがでしょうか?
虫にーにー、マレーシアへ行く 〜登山編〜2024/06/20
マレーシアの多様な動植物相を感じるには、とにかくジャングルの中に入らなければ始まらない!
とはいえ、人っこ一人いないような原生林にいきなり単独で入っていくのはさすがに怖い……マレーシアって野生のトラいるし…
ということで、手始めに他の観光客も多く登る、有名っぽい山へジャングルトレッキングに行ってきました。
宿泊地タナ・ラタの裏手に鎮座する、Gunung Jasar。Gunungはマレーシア語で「山」という意味なので、ジャサール山、もしくはヤサール山でしょうか。
登山口までは街の中心から歩いて30分ほどと、レンタカーがない人でも簡単にアクセスできる点が人気のようです。
キャメロンハイランドにはこの地図にあるように、番号が割り振られたジャングル・トレイルのルートがいくつもあり、このヤサール山は10番になっているようです。
なんてことない住宅街の一番奥に登山口はあります。親切にも看板がありました。
極限まで簡略化された道案内の看板。10って……これだけ見たらなんのことやらさっぱり。
ここを登れということのようです。登山客が多い道はそれに合わせて足型ができてしまうのは、西表島だろうとマレーシアだろうと共通のようです。
雰囲気が出てきました。
あまり自然に興味のない人からすると「西表島のジャングルと一緒じゃない?」と思われそうですが、よーく観察すると全然違いますよ。
一見して気づくのは、西表と違い、木の幹にコケ植物や着生植物(他の木の上などにくっついて生える植物)が多く見えます。写真でも、木の表面が緑色にもじゃもじゃしているのが伝わりますかね?
ここキャメロンハイランドなどの森は「雲霧林」と呼ばれ、文字通り雲や霧でいつも覆われていて湿度が高い森なのです。
この雲霧林は熱帯の、雲がかかる標高1000メートル以上の山にあることが多いです。最大でも標高500メートルに満たない西表の山では、雲霧林とはならないということですね(とはいえ西表島は本州に比べると湿度は高く、マレーシアほどではないですがコケ植物や着生植物はあります)。
こんな植物は野生では初めてみます。ネペンテス、和名はウツボカズラですね。食虫植物の一種で、最近は観葉植物としても売っているので、知っている人も多いかもしれませんね。
細長い袋状の部分に消化液をためます。落とし穴のように袋に落ちてきた虫はツルツルの壁を登ることができず、そのまま溶かされてウツボカズラの栄養になります。
これはさすがに西表のジャングルにもないでしょう。
山頂までの所要時間は、普通に歩いて1時間といった所でしょうか。
ガイドとして毎日山を登り続けて7年、体力と山登りのスピードには自信があります。この程度の山は休憩なしで登ったるわ、と意気込んだのはいいものの、標高の高さは大きな誤算。標高1500メートル越えともなるとさすがに息が切れます。身の程を思い知りました。
ルート上にいたでっかいヤスデ。30センチくらいある。
頂上付近に到着。一番見晴らしがいいのは、頂上の少し手前のこの電波塔の建っているエリア。遠くの山々やタナ・ラタの街を眺めることができます。天気が良くて素晴らしい!
山頂は、電波塔から1分ほど歩いたところ。ヤサール山は標高1704メートルの山らしいです。
外国人観光客の姿もちらほらあります。そこまで大賑わいということはなく、10分に一組が登ってくるくらい。人がいすぎるわけでもなく少なすぎるわけでもない、ちょうどいい混み具合ですね。山頂自体のスペースは広くはなく、いい景色以外は何もないので、皆軽く眺めを堪能した後は戻っていきます。
ですが僕は、わざわざ絶景のためだけにここへきたわけではありません。いや景色も素晴らしいけど、もう一つ……
虫採りだッ!!
アサギマダラの仲間。アサギマダラ自体は西表島にも生息しています。この仲間は海を超えて何千キロも旅をするチョウなので、ここマレーシアに同じ種がいても不思議ではないのですが、いろいろ種類がいて詳しくはよくわからないです。
幼虫時代に毒のある草を食べて、成虫になっても体にその毒を蓄えているため、鳥はこのチョウをわざわざ食べないそう。よって彼らは鳥に狙われる心配などなく悠々と飛んでいるので、捕まえるのは比較的簡単です。
珍しくないやつか……と思いきや、中には毒を持たないくせに、体の色と飛び方をこのチョウに似せて鳥を騙すレア物のアゲハチョウもいるので、騙されずに捕まえましょう。
蛾の仲間です。チョウみたいに綺麗ですが、昼間に飛び回るガです。
「綺麗なのがチョウ、地味なのがガ」、「昼に飛ぶのがチョウ、夜はガ」なんていう見分け方をしていると騙されますね。その見分け方で区別できてしまうことも多いのですが、例外も多くいつでも当てになる方法ではありません。
ニヌスカザリシロチョウ。これが採りたかった!
カザリシロチョウ類は、子供の頃に誰でも一度は見たことがあるモンシロチョウに近い仲間ですが、この南国らしいド派手な色が特徴。しかもこの色、今見えている翅の裏面の方が表面より美しいとされています。
カザリシロチョウの仲間は日本にはいません。海外に行って、そこでしか見られない虫を見るというのがいいですね。
この仲間は東南アジアに広く分布しており、マレーシアにも何種類もいるようですが、この山では時季のせいか場所のせいか、この一種類だけでした。
観光地の山なので、たまに登山客がやってきてはこちらをチラッと見てきます。が、マレーシアは昆虫採集に寛容な国。採った虫を物好きな観光客に売ったり、地元のバタフライパーク(チョウの動物園的な施設)に卸して生計を立てている人もいるくらいなので、文句を言われることはありません。
中には興味を持ったのか、話しかけてくる人もいます。フランス人らしき男性は英語がわからないようでしたが、こちらの絞り出した「パピヨン(フランス語でチョウのこと)」という単語を理解したようで、納得した顔で頷いていました。
目的の虫も採れたところで、ぼちぼち帰宅。
熱帯雨林ではいつ強烈なスコールが降るかわからないので、目標を達成したら晴れているうちに帰るのが吉ですね。
次回に続きます。
虫にーにー、マレーシアへ行く 〜出発編〜2024/06/14
初めましての方は初めまして。サニーデイの生き物担当、虫にーにー改め、ガイドの船越です。
遡ること数ヶ月、3月の頭に休暇を利用してマレーシアへ行ってきました。今回はその時の様子をレポートしたいと思います。
といっても、観光はほとんどせず、相変わらず山登りと生き物観察しかしてこなかったわけですが……(汗
西表島で毎日のようにトレッキングと生き物観察をしておいて、まだ足りないのかと呆れた声が聞こえてきそうですね。
しかし、同じジャングルでもそこにある植物、生息する動物などは国や島によって多種多様であるわけで、そこの違いを比べるのもまた楽しいのです。今回の僕の主な目的は例に漏れずそこにしかいない独特の昆虫ですが、ヘビやトカゲなどの爬虫類、そして西表島とはまた違うジャングルの中を探検するのも楽しみです。
まずは、今回旅をしたマレーシアについて軽く紹介を。
マレーシアはいわゆる東南アジアに位置する国で、ユーラシア大陸から突き出たマレー半島南部と、世界の島の中で第3位の面積を誇るボルネオ島の北部を領土としています。
公用語はマレー語ですが、準公用語として英語もよく使用されているため、観光地ならば英語でも問題なさそうです。英語がほんの少しだけ話せる、という理由で海外からサニーデイのカヌーツアーに参加するゲストはほとんど僕の担当でしたが、おかげで英語力は少し向上したかもしれません。ここにきてその力が役に立ってくれそうです。
治安に関しても、日本ほどではないにしても比較的いいようです。外務省の海外安全ホームページによると、国や地域ごとの危険度の四段階評価のうち、レベル3(渡航中止勧告)とレベル2(不要不急の渡航の中止)が出ているのはボルネオ島にあるサバ州東海岸の一部地域。首都のクアラルンプールをはじめとしてほとんどの地域は危険レベルの対象外です。東南アジアの国の中でも、安全な方らしいです。僕は海外旅行初心者なので、この点はありがたいですね。
自然についても、魅力的な場所がたくさんあります。10ヶ所以上ある国立公園では野生のオランウータン、テングザルなどの動物や、世界最大の花ラフレシアなど、海外ならではの日本とのスケールの違いを見せてくれます。ジャングルクルージングからトレッキングまでツアーも充実しているようですし、美しい海が特徴の観光地ペナン島も大人気。あらゆる場所で、雄大な自然を目にすることが出来ます。
そんな数ある素晴らしい観光地やツアーをすべて無視して僕が訪れた場所、それがキャメロンハイランドです。
ちなみに今回の旅行は完全に一人旅でした。基本的にガイドや通訳の方はおらず、移動も全てレンタカーを借りて自分での運転です。車の運転に関しては日本と同じ右ハンドル左車線ですが、運転マナーが若干荒いのはなかなかに怖かったです。幸い、事故などはせずに済みました。
滞在したタナ・ラタという街。マレーシアというよりヨーロッパっぽい街並みのような気も。ヨーロッパ行ったことないんですけど。
キャメロンハイランドとは、このタナ・ラタの街を主として広がるパハン州の高原リゾートの総称。もともとはイギリスの統治下にあり、当時の国土調査官キャメロンによって発見されたことが由来のようです。その後リゾート地として開発が進み、標高1500メートル以上のため年間を通じて平均気温20度前後と南国のマレーシアにしては過ごしやすいこともあり、今でも避暑地として人気のスポットだそう。
急な斜面を切り拓いた畑で収穫できる茶葉や高原野菜が特産品のようです。
茶畑。斜面が多く茶摘みが大変そう。
キャメロンハイランドの概要はこんなところ。観光地のためとりわけ治安も良く、英語も通じる、飲食店も豊富と、海外旅行の目的地としては文句のつけようもないですね。実際にマレーシアは仕事をリタイアした日本人の移住先としても人気。ここキャメロンハイランドで余生を過ごすことを決めた日本人の方も多くいるそうです。
ですが、今回はマレーシアにのんびり観光に来たわけでも、日々の仕事の忙しさに嫌気が差して羽を伸ばしにきたわけでもありません。目的はただ一つ。このジャングルのどこかに暮らす昆虫たちです。
キャメロンハイランドはマレーシアのジャングルの一部を切り開いて作った街。少し歩くだけでも簡単にその手付かずの自然にアクセス出来ます。
ジャングルの面積もさることながら、麓は500メートル、山頂は2000メートルと標高の差が激しいことも特徴の一つ。標高が低くて暑いところが好きな生き物、標高が高く涼しいところが好きな生き物とさまざまな種が観察できます。昆虫の数、種類ともに西表島とは桁違いのはず。まだ発見されていない新種なんかもまだまだたくさん隠れているに違いありません。さすがにこの旅行中に自分が新種を見つけられるとは思いませんが……
今回の狙いは、マレーシアならではの昆虫たちですが、その中でもぜひ見てみたいものをいくつかピックアップ。
まずは全ての小学生男子の憧れ、南米に生息するヘラクレスオオカブトと肩を並べるカブトムシ界の2トップ、コーカサスオオカブト。
マレーシアの国蝶で、世界最大の蝶の仲間であるトリバネアゲハの一種、アカエリトリバネアゲハ。
クワガタムシの中でも珍しい金色に輝くジャングルの宝物、オウゴンオニクワガタ。
その姿はまるで木の葉そのもの、かくれんぼ名人のコノハムシ。
図鑑や動物園では何度も見たことはあるこれらの昆虫。マレーシアの森の中で彼らと出会うことはきっといい思い出になるはず!なんとしても見てみたい!
ということで、彼らに出会えるのかどうかも期待しながら、次回に続きます。
ウミヘビ発見!2023/06/08
カヌーで川を進んでいると、水中を泳ぐ魚を見ることはよくありますが、今日は一味違いました。
クロガシラウミヘビ…でしょうか。
2メートル近いウミヘビがカヌーの下を悠々と泳いでいました。
完全水棲のためカヌーに登ってくることはありませんが、有毒のため注意が必要です。
実はウミヘビってコブラの仲間なので、とても強い神経毒を持つ種も多いんですよね。
総じて攻撃性は低いそうですが、その中でもこのウミヘビは比較的攻撃性もあるようです。沖縄県では過去には噛まれる事故も発生しています。
もしツアー中に出会った際は、見守るだけで、触ったりはしないようにお願いしますね。
スタッフ 船越
アオミオカタニシ
とてもきれいな緑色をした「アオミオカタニシ」。
カタツムリのようですが、名前のとおりタニシの仲間です。タニシといえば田舎の用水路など、水辺にいるイメージですが、ヤマタニシという陸生のものもいるんです。
沖縄方言では「おーるーちんなん」。おーるーは「青」、ちんなんは「カタツムリ」の意味です。
やっぱりカタツムリじゃないか。まあ昔の人も、こんなに綺麗なタニシがいるとは考えなかったのでしょう。
西表島のジャングル内では雨の日などによく見ることができますが、意外に沖縄県では準絶滅危惧種。鹿児島県内では既に絶滅したといわれている貴重な生き物です。
この美しい緑色、殻の色ではなくタニシ本体の色。殻は半透明の乳白色で、体の緑色が透けて見えているんです。
雨の日も多い西表ですが、そんな時でもよく観察してみると雨限定の生き物が姿を見せてくれるかもしれませんよ。
スタッフ 船越
ツアー当日朝、石垣島からご参加予定の皆様へ2021/06/28
7/1〜9/30の間、下記コースに当日朝石垣島からご参加予定の皆様は、7:30発上原港行きフェリーでのご乗船をお願い致します。
・ピナイサーラの滝上下カヌー&トレッキング1日コース
・マングローブカヌーショートコース
・マングローブカヌー&キャニオニング体験コース
・マングローブカヌー&由布島水牛車観光コース
暑さと混雑回避の為、またスムーズなツアー進行の為、夏季は早出をお願いさせて頂いております。何卒ご理解をお願い致します。
尚コロナウィルス感染拡大の状況により、フェリーが減便がされた場合は変更になる可能性がございます。
イワサキクサゼミの鳴く頃2021/04/27
4月もそろそろ終わり、GW直前。
季節外れの台風のためここしばらくは雨の日が続いていましたが、過ぎ去ってからは気持ちの良い晴れの日も多くなってきました。
新型コロナの影響でなかなか旅行へは行きにくい状況ですが、それでもサニーデイは感染防止対策を入念にしながら元気に営業中です。
春といえど西表では連日のように気温25度を超え、街を歩く人も皆半袖短パン。本州より一足早く夏へと突入したような気分です。
そこかしこから初夏の訪れを感じさせる、あの生き物の鳴き声が聞こえてきます。
イワサキクサゼミ
八重山ではよく見るセミですが、大きさは二センチという日本最小のセミです。
この時期にセミというとびっくりされる方も多いと思いますが、西表では3月〜11月まで、様々な種類のセミが鳴いているんです。
このセミは、サトウキビやススキといったイネ科の植物の近くに住んでいます。
草原で耳をすませると「ジイーーーーーーー…」という声が聞こえますよ。
動画はこちら。
小さい体の割にとても大きな声で鳴いています。
さほど珍しいセミではないので、天気の良い日中なら苦労せず見つけることができるはずです。
ちなみに、八重山にはこのイワサキクサゼミの他に「イワサキゼミ」「イワサキヒメハルゼミ」という似た名前のセミも生息していますが、実はこれらは全く別の種類になります。
余談ですが、セミの他にも八重山には「イワサキ〜〜」という名前の付いた生き物が多いです(以前紹介したイワサキセダカヘビ、イワサキワモンベニヘビもそう)。
これは明治〜昭和にかけての40年間を石垣島で暮らした気象観測技術者の「岩崎卓爾」さんのためにつけられたもの。
仕事である気象観測のほかに、八重山の生物や民族、歴史について研究していた岩崎さんは、発見した新種の生き物を知り合いの研究者に送っていました。
研究者は貴重な生き物を見つけてくれた彼に敬意を払い、その生き物達に岩崎さんの名前をつけているんですね。
スタッフ 船越
右利きのヘビ2020/07/21
「イワサキセダカヘビ見つけたけど」
ある日の夜、ガイド友達からそんな連絡を受けた僕は家を飛び出し現場へ急行。
待ち受けていたのは三年間憧れていたヘビでした。
イワサキセダカヘビ
日本で唯一のセダカヘビ属で、石垣、西表の固有種。
そしてカタツムリしか食べないという極度の偏食家でもあります。
さらにその特殊な体の構造から「右利きのヘビ」とも呼ばれ、国内では他に類を見ない独自の生態をしています。
腕のないヘビに右利きも左利きもあるんかいな?と思う方もいるでしょうが、その特徴が現れるのは下顎。
カタツムリには殻の巻く方向によって「右巻き」「左巻き」に分けられます(殻を外方向へたどる時、時計回りになるのが右巻きです)。
国内に生息しているカタツムリはほぼ全て右巻き。サザエやタニシなどの皆さんがよく目にする巻貝もそうです。
イワサキセダカヘビはその右巻きカタツムリを効率良く食べたいがため、右の歯だけ本数が多くなってしまうという特殊な進化をしました。
言葉で説明するのはとても難しいのですが、右巻きのカタツムリをひっくり返して食べる際に歯の多い右顎で肉を抑え左顎で引きずり出す、といった感じです(ヘビの下顎の骨は中央で繋がっていないため、左右で独立して動かすことができます)。
そして左巻きのカタツムリを食べようとしても顎がうまく使えずたいてい失敗してしまうのです。右巻きだけを食べることに特化した専門家ですね。
ここからがさらに面白いところで、進化するのはヘビの方だけではないということ。
カタツムリは体の構造上、基本的に右巻きと左巻きではうまく交尾ができず子孫を残すことができません。
そのため突然変異などでたまたま生まれてしまった左巻きのカタツムリは左巻きの性質を後世に残すことなく死んでいきます。
よって全国的にはほぼ全ての種が右巻きなのですが、イワサキセダカヘビの生息する八重山だけは少ないながらも左巻きのカタツムリが一定数いるんです。
その理由はやはりこのヘビ。
八重山においては左巻きカタツムリはイワサキセダカヘビに食べられにくいという明確なメリットが存在します。
その結果、襲われなかった左巻き同士の出会う確率もわずかに増え、左巻きに進化した新しい「種」が繁栄するのです。
イワサキセダカヘビとカタツムリは、お互いがお互いに影響を与えあい進化の加速を促進していると言えますね。
カタツムリとセダカヘビの共進化について研究している有名な方の書いた本を読んで以来、このヘビに会える機会を待っていたんです。
とはいえ狙って出会うことなどまずできない幻のヘビ。わざわざ探すこともせず、いつか見つかるだろうとタカをくくっていた僕の前にやっと現れてくれました。
スタッフ 船越
夏のピナイサーラ2020/07/12
新型コロナウイルスの影響もまだまだ抜けない7月の西表島。
ありがたいことに現在でも西表島の感染者はゼロ。
これも皆様が手洗い、マスク着用を徹底してくれるおかげです。ありがとうございます。
サニーデイも引き続き朝の検温、港でのマスク着用、道具の消毒等の対策を続けてまいります。
さて、7月に入り西表島は気温が最高潮の34度に達しています。
「34度というとたいしたことない、こっちの夏は41度だぞ!」と歴代最高気温を記録した熊谷の人に怒られてしまいそうですが、じつは西表は内地と比べて著しく気温が高いということはありません。真夏でもだいたいこんなモンです。
ではなぜ暑く感じるのか?
それは太陽のパワーが凄まじく、紫外線量も本州の数倍はあるからです。陽を遮るものがないカヌーの上はまるで巨大なオーブンで加熱調理されているかのよう。暑いというより、もはや痛いの域です。
カヌーを降りてトレッキングを始めると一転、亜熱帯のジャングルが日影をつくりとても快適です。
風でも吹こうものなら「あの暑さはどこに行った?」と首を傾げてしまいます。
西表を訪れる際は日焼け対策を万全に。
しかし美肌の天敵である紫外線まみれの夏も悪いことばかりではなく、トレッキング中はこの時期ならではの光景を見ることができます。
西表島を代表する花、サガリバナ。
一晩しか咲かない「幻の花」で、日が沈むと開花し朝方には散ってしまいます。
国内では奄美大島から南の島に生えていますが特に西表、石垣の群生地は規模が大きく、毎年花のウワサを知った一部の観光客がこの花を見るために早朝ツアーを申し込みます。
満開に咲いている姿もいいものですが、散ったサガリバナがゆらゆらと川面に浮かんでいる姿も幻想的ですね。
いつものマングローブを眺めながら、カヌーでピナイサーラへと向かいます。
コロナの影響か例年より空いていますので、のんびり自由に漕ぐことができますね。カヌー初心者の方にはもってこいかもしれません。
ピナイサーラに到着。
滝つぼに飛び込んで、汗を流しましょう。ここまでトレッキングを頑張った人へのご褒美です。
いつもは芋洗い状態の滝つぼも、やはり人は少なめ。
個人的には、このくらいの人数のほうがツアーはやりやすいと思います。都会の喧騒を逃れてわざわざ日本の果てまで来たのに、夏休みの市民プールみたいな滝つぼで泳いでも安らぎませんよね……
内地は大雨で大変そうですが、西表はほとんど雨が降っていません。滝の迫力もそこそこ止まりです。
いつもなら台風の一つや二つは来ていてもおかしくないんですが……今年は全然です。このまま雨も降らず台風も来ずでは滝の水量も減り、水不足になってしまうかもしれません。ちょっと心配です。
まだまだコロナウイルスの影響が懸念されますが、いつもののんびりした西表島の日常が戻るよう、我々もゆっくりとではありますが自分たちにできる仕事を続けていこうと思います。
スタッフ 船越